着物の達人講座

『着物の達人講座』 六 「先ずはイメージ作りから」

 先ずはどんな着物姿を目指すのかそのイメージ作りについてお話をする。

 着物を着るときにはただ漫然と着るのではなく自分の理想の着物姿をイメージして着ることが「着物の達人」への近道である。そのイメージがしっかりとしていれば自然とそのイメージに近づいて来る物である。

 先ず理想の着物姿のイメージ作りをしよう。第一に自分が一番素晴らしいと思う「着物の達人」を探す。例えば演歌の歌手でも、雑誌やポスターなどの女優さんや時代劇に出てくる俳優さん、あるいはあなたの身近にいる人でも良いでしょう。出来るだけ自分の体格に近い人をお手本とする。その人の着物姿をよく観察してちょっとした仕草や立ち居振る舞いなどもしっかりと頭の中に記憶する。ちなみに私事ながら筆者は歌舞伎の名優故八代目市川中車さん(当時七四歳位だったと思います)の着物姿を手本にしている。勿論、舞台の上では役柄に合わせた見事な着こなしだが、普段の自前の着物姿が舞台衣裳以上に素晴らしく、今でも鮮明に覚えている。

 着物を着るときにはその「着物の達人」をイメージしながらその人に変身するような気持ちで着て見よう。

 もちろんすぐにイメージ通りに着られる訳ではないし、そのイメージも着物を着続けるうち、年齢を重ねるうち色々に変わって来る。またT・P・Oや、着る着物の色、柄、素材などによって幾つものイメージパターンを持つことも必要である。

 イメージ作りをするには出来るだけ回数多く着物に袖を通すことである。着物は「慣れ」が必要である。「着物の達人」の姿をイメージしてそのイメージに出来るだけ近づくよう工夫をしながらひたすら何度も着る。慣れなければどんなにすばらしいイメージを頭の中に描いていてもそのイメージに近づくことは出来ない。

 着物を着る機会が増えれば自然と他の人の着物姿も気になる。着慣れてくると他人の着物姿の今まで見えなかった部分も見えてくるし、疑問に思っていたことも自然に分かってくる。

 百人いれば百通りの着こなしが有る。「着物の達人」とは自分自身の着こなしを確立してT・P・Oや、色、柄、素材などによって自在に着分けられる人の事である。

 同じ着るなら「様子好く」、着物の値段と着物姿の様子の好さは比例するとは限らない。 今日から『着物の達人』をめざしてひたすら着物を着よう。

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